今回は、「課題達成型小集団活動」とはどのような小集団活動か説明していきます。課題達成型小集団活動とは、経営目標からブレークダウンされた目標や活動テーマに取り組む小集団活動です。従って、小集団自体を経営目標達成のための下部組織として明確に位置づけ、目標値や活動テーマは原則としてトップダウンで指示されます。
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1.課題達成型小集団活動のポイント |
①組織構造の明確化
職制を中心とした組織構造の中で、小集団を会社業務遂行のための最も小さな集団と位置づけます。 原則としては係や班単位が中心となりますが、場合によっては他チームと連携して連合チームを作る場合もあります。また、各チームにはチームリーダーと監督責任者(管理職)を置き、活動の的確な運用と進捗管理、アドバイス等を行っていきます。
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②取り組むべき課題の明確化
課題達成型小集団は経営目標達成のための下部組織です。従って、取り組むべき課題は、経営目標からブレークダウンされたものになります。 そのためには、まず経営トップが方針を出して、その方針に対して各部門が目標値と指標を出し、そこから更に目標がブレークダウンされていって、最終的に小集団の取組むべき課題が決まります。こうすることで、小集団活動と経営課題をつなぐことができ、小集団の成果が経営目標にどのように寄与しているかを明確にすることができます。
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③会社業務としての明確な位置づけ
改善活動の成果を期待する以上、改善活動は会社業務であると明確に位置づける必要があります。 近年はサービス残業などに対する規制も厳しくなっているため、自主的活動ではなく業務活動であると明確に規定した方が問題は少なくなります。過去のような「自主的に会社のための改善活動を行っていく組織」などという規定は現在ではほとんど通用しないと考えるべきです。
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④チーム間の連携
課題達成型小集団活動の特徴として「チーム間の連携」があります。通常の小集団活動では、各チームは単独で行動しますが、課題達成型小集団活動ではテーマに応じて連携を取りながら活動を遂行していきます。例えば「仕掛り削減」という改善テーマがあった場合、上流工程と下流工程のチームが連携を取ることにより目標を達成していきます。
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⑤小集団活動の適用範囲を広げる
従来型の小集団活動が小改善や段取り替え時間短縮などいわゆる「現場改善」と呼ばれる分野の改善活動を中心に行ってきたのに対し、課題達成型小集団活動では「現場改善」を基盤におきつつも、連携チームを中心として「仕組み改善」に積極的に取り組んでいきます。
仕組み改善とは モノの流し方、人の行動パターン、上下工程との関係などひとつの理想を実現する為に、複数の工程を連関させて改善していくのが仕組み改善である。新たなものづくりの仕組みを作り上げていくことで成果を確実に定着させていく。モノや情報の流れ自体を変えていくため影響も大きいがより大きな成果を出すことができる。
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⑥責任の明確化
活動においては、責任を明確にしておくことも重要です。特に活動遂行責任と成果達成責任を明確に分けておくことがポイントです 活動遂行責任は、計画として決めたことを遂行するという責任で、チームリーダーが責任者ということになります。チームメンバーを率いて与えられた課題に積極的に取組んでいくという責任です。一方、成果達成責任は、改善活動に対して成果を出すという責任です。改善活動は最終的には成果を出さなければ意味がないので、目標に対する成果を出すということが重要になります。管理職や任命責任者がその責任を負うことになります。管理職は、メンバーが動かないから成果が出ませんでは済みませんので、どうすれば成果が出るかということを常に考えていかなければなりません。
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また、責任を持たせる以上は権限を持たせることも必要になってきます。責任と権限は一致させておかなければなりません。権限より責任が大きい場合は無理な仕事を押し付けられているように感じますし、責任より権限が大きい場合は、無責任な行動を引き起こす要因になります。 |
2.課題達成型小集団活動の4ステップ |
課題達成達成型小集団活動では、ものづくりの仕組みの改善を行いますが、それは一朝一夕でできるものではありません。まずは仕組み改善を行うための「改善する力」を養っていく必要があります。そのために我々のコンサルティングにおいては、課題達成型小集団活動は、準備期間、ミクロ改善期間、テーマ改善期間、ストラクチャー改善期間という4つのステップで活動を進めていきます。各ステップを確実に遂行することにより、より大きなテーマに取り組むことが可能になってきます。 活動開始後すぐに仕組み改善を要求する企業もありますが、改善の実力が十分についていない時点で仕組み改善を目指してもうまく行かない場合が多いです。改善で大切なのは着実なステップを踏むことと参加者全員のモチベーションを上げることが重要です。
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①ミクロ改善での取り組み例
ミクロ改善ではトップより改善の方向性を指示し、各チームはその方向性に応じて改善を行っていきますが、指示項目以外でも日常業務上の問題点や日頃より不便を感じている問題点について解決していきます。
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②テーマ改善の取り組み例
ミクロ改善が日々改善を前提にしているのに対して、テーマ改善では3ヶ月程度の単位で取り組めるテーマを設定し、テーマからの課題展開、評価指標及び目標値の決定を行い、改善を推進していきます。いわゆるデザインアプローチ手法です。
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③ストラクチャー改善の取り組み
ストラクチャー改善ではあるべき姿から課題展開を行い改善テーマを設定しますが、その中でもモノの流れや情報の流れに対する新たなものづくりの仕組み構築など、工場レベルの大きな課題にチャレンジします。当然目標値を明確にし、目標達成に向けた取り組みとなります。また、必要に応じてチーム間の連携も行います。
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以上、今回は「課題達成型小集団活動」とはどのような小集団活動かというご紹介をさせて頂きました。次回は、改善活動を実施するにあたって、活動を活性化させるためのポイントを紹介していきます。
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株式会社アステックコンサルティング
コンサルティング本部 コンサルタント 上原 剛
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