第79回 生産設計によるコストダウン
「設計部門の課題とソリューション」 |
1.設計部門の課題 |
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多くの製造業企業では、設計開発部門が抱える課題として、「設計リードタイムが長く、出図はいつも遅れてしまう」「設計マネージメント不足で担当者任せになり設計プロセス・進捗が見えない」「蓄積された技術やデータの整備不足のため設計の標準化が進まない」などの声をよく耳にします。これらの問題を解決する為には、設計部門の改革しかありません。
しかし現状では、改革するにしても「何処から手をつけていいのかわからない」「日常業務に追われ、改革する為の時間が取れない」「どんな手法で改善するのか知らない」などを理由に改革の手が及んでいないのが実情です。 |
2.設計開発部門の実態 |
多くの企業で同じようなことが起きているのであれば、設計開発部門の実態を紐解くことで真相にたどりつくことが出来るのではないかと考えられます。設計開発部門の実態とはどういうものか分かりますでしょうか? |
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3.設計開発部門は改善の取組みが弱いと言われる3つの原因 |
設計開発部門で「改善の取組が弱い」、「効率が上がっていない」と言われる原因は様々ですが、大きくは下記の3つになります。 |
① 変えようとする強い意志(=モチベーション)が不足している為に変われない 設計部門のメンバーは優秀な方が多く、ロジカルに物事を考えます。直接部門はピラミッド構造で上からの指示は絶対ですが間接部門特に設計部門はなぜそれが必要かを理解しないと行動には結びつきません。改善活動にしても上から単にやれといっても設計部門のモチベーションは上がりません。
② 見える化の不足による認識不足の為に変われない モチべーションが高くやる気があっても取り組みに至らない理由は、現状の悪さ加減が認識されないと進みません。なぜなら現状とあるべき姿のギャップが課題になるわけですから悪さ加減の見える化は非常に重要です。
③ 教育の不足による視野の狭窄の為に変われない 次にモチベーションも有り、悪さ加減も見える化できても、どう解決するかと言う手法を知らないと改善は進みませんので改善手法を学び視野を拡大することが大切です。 |
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4.真因解消の為に必要な取組みとは |
3つの原因の裏返しになりますが、コンサルティングを通じて強い意志・正しい認識・改善手法の修得により解決することが出来ます。
例えば、「仕様決定が顧客都合で遅れる」と言う問題は顧客が仕様を決めるための条件だしを行う。つまり提案営業(川上営業)を推進し、設計開発部門は「確定情報での設計」を行います。また、「設計工程が読めない。いつも出図が遅れる」と言う問題は商品群毎に標準時間による基準日程を作成し、それで予定実績管理する。つまり「基準日程による管理」を行います。
次に、「管理者や外部から設計者の活動が見えない」と言う問題は案件別の基準日程と個人のスケジュール管理を整合させる。つまり「設計の見える化」を行います。更に、「出来る人に仕事が集中する」と言う問題は、個人の力量に頼った設計体制になっているので、技術者の育成が遅れている。「属人的な業務からの脱却」を行います。最後に「新製品毎に新図を描くケースが多い」と言う問題は、標準図による標準化率・流用化率の向上を図る。つまり「設計方式の変換」を行います。 |
以上で、設計改善の難しさ及びその理由と対策につきまして概念的な説明をさせていただきました。次章はもっと具体的な改善手法につきまして話を進めていきます。 |
株式会社アステックコンサルティング |