第9回 「一気通貫生産方式の基本的な考え方」
一気通貫生産方式は、理論的にはそれほど難しいものではない。しかし、一足飛びに実現できるものでないことも確かである。
ここでは前述した基本的な考え方が固まったことを前提として、一気通貫生産を実現していく上でよく発生する悩みについて採り上げ、どのように乗り越えていくかについて述べる。
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順当に営業情報を生産計画へと加工し、タイムリーに出すことさえかなりのエネルギーを要するのに、さらに異常トラブル発生による変更が度重なれば到底無理という声である。確かにすぐには無理であるが、ステップを踏めば必ず克服できる問題である。 ポイントは以下のとおりである。 (1)“ここぞ”という重点管理ポイントを維持管理できるところまで減らす。重点管理ポイントの候補は直接、間接含めてボトルネック工程、不安定工程である。 (2)停滞時間も計画する。(1)の重点管理工程前後に問題の要因が解消するまで思い切って停滞時間を設定しておく。そのかわり重点管理工程以外は停滞時間を排除し、その余力を重点管理工程に振り向けるイメージである。 (3)重点管理工程以外は、先入れ先出しなどの単純ルールの徹底を図り、管理の手間を極力省く。 以上のような工夫をしながら問題の解消に合わせて、さらなる停滞時間の排除や管理対象工程の拡大を進め、レベルを上げていくようなステップを踏んでいく。 |
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これもよくある悩みである。しかし、前で紹介した基準日程の設定、情報のタイミング設定を行えば、まずおさえるべき対象品が見えてくる。多くは長納期品であることが多いが、
実は短納期品でも手配タイミング、調達リードタイム、使用タイミングがそもそも整合していなかったということもよくある。一品でも揃っていなければモノは作れないという言い方も確かにあるのだが、
まず問題児の調達部材をしっかりとコントロール下に置けば管理が随分と楽になることも多い。そうなれば次の管理強化に取り組むことができる。
従って、何か起こっても何とかなるものには目もくれず、ボトルネック品のコントロールに全力を投入するなど、やはり優先度に応じてステップを踏んで取り組んでいくということが大切になる。
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この声の背景には大きく2つの要因がある。1つは営業部門が顧客からの情報入手努力を怠っている。2つ目は営業-工場間で製品・販売戦略や最適な工場運営管理などの視点でどうあるべきか、ほとんどコンセンサスがとれていない場合である。 実は1つ目が要因である場合は比較的取り組み易い。しっかりとルール化、仕組み化すれば解消していくことが多い。厄介なのは2つ目が要因であるときである。これは顧客自身も正確な情報は持ち合わせていないので、精度向上そのものにも限界があるケースである。この場合、会社として戦略を決めることが重要であるが、工場が営業に対して必要な情報を明確に要請できていない、実は本当に必要な情報として何を要請したらよいのか工場側もよくわかっていないことがよくある。例えば、工場側が自らのボトルネックをわかっていないなどである。従って、営業と工場の両者が膝を突き合わせて丁寧にひも解いてゆけば、良い解決案が出てくることが大半であるので、そのような取り組みを愚直に取り組んでもらいたい。 以上に挙げたのはほんの一例であるが、共通的に言えることはステップを踏んで着実に取り組んで行けば必ず展望は開け、究極の一気通貫生産につながっていくということである。 |
日刊工業新聞社刊「工場管理」2012 VOL.58 No.3 掲載記事に加筆訂正 株式会社アステックコンサルティング |