今回は、間接部門の生産性を上げるための具体的な間接改善の進め方・手法を説明します。それは間接3軸改善という手法で、業務の流れを機能面からもう一度見直し、必要度の低い仕事の削減、業務フローの見直し、費用対効果の少ない仕事の改善を行なうことにより理想的な業務の流れを実現し、間接部門の生産性を上げて行く改善手法です。具体的に間接3軸改善とは、読んで字のごとく、「業務効率改善軸」「業務フロー改善軸」「教育・意識改革軸」の3つの軸で同時並行的に改善を進める手法です。この手法は、前回説明した会社を変えるための3つのポイント、①従業員のモチベーションアップ、②構造的問題点の見える化、③教育を伴った全体最適視点の改善活動、を解決する有効な改善手法と言えます。
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■業務効率改善軸(チーム活動)
部門内のチーム単位での改善活動で、具体的な改善活動を通じて業務効率の向上を目指します。生産性指標を作成し、日常業務の中のムダを排除することにより効率的な業務遂行を実施します。
■業務フロー改善軸(プロジェクト改善)
業務フローを中心として、仕事の仕組みや流れ自体を見直して行きます。部門間に発生する問題や組織の構造的な問題点にメスを入れ、抜本的な仕組み改善を実施します。
■教育・意識改革軸
改善を行っていく上で必要な改善知識、管理技術を学んで行きます。間接業務はモチベーションによって効率も変わるので、やる気を醸成する手法の展開も行っていきます。
間接3軸改善の特徴は3点あります。1つ目は、業務効率(生産性)指標を取ることにより、改善の進捗を「見える化」して行くところにあります。2つ目は、チーム改善とプロジェクト改善はあくまでも役割分担であり、課題によっては共同で改善を進めることにより、従来手法と違い、個人の仕事の効率だけでなく、組織としての仕事の効率や仕事の与え方も改善して行きます。3つ目は、知識教育、意識改革を行うことによって、改善を進めて行くために必要な人材を育成しながら成果を上げて行きます。
特に3つ目の「教育・意識改革軸」は重要な取組です。適切な知識がないと物事の正常と異常の区別がつかない(問題形成能力不足)ことになります。また、適切な改善手法を知らなければ、試行錯誤になり短期間で成果を出せないことになります。知識教育や改善手法の教育による意識改革を行うことによって改善が適切に進んで行くとともに、成功体験を通じて従業員のモチベーションの向上による間接業務の効率化に繋がってきます。改善を進めて行くために必要な人材を、各種教育と改善の実行を通じて育成することが重要です。実際のコンサルティングの現場では、コンサルタントが必要な知識教育や従業員の意識改革を図っていきます。
取り組みの推進組織は、業務効率改善の組織別の小集団型のチームと業務フロー改善の組織横断的に課題別にチームを編成します。全体最適化チームが中心になって、コントロールタワーとして各PJをとりまとめて行きます。専任担当者は、改善活動の専任者で、各チームに対するサポートの実施をする非常に重要な役割です。各PJは単独で改善を進めて行くのではなく、連携を取りながら改善を進めて行きます。生産性向上、企業体質改善を目的とする場合は業務効率改善(チーム改善)に力を入れます。人員削減を目的とする場合は、フロー改善(PJ改善)を主体に進めます。
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間接部門の改善活動を進める場合に非常に重要なのが、自分たちの業務の効率を図る指標すなわち業務効率指標を算出するということです。つまり間接部門の生産性指標ということが出来ますが、従来はこのよう改善の結果を判定する指標が無かったために、間接部門の改善があまり進まなかったり、単発的な改善に終わってしまっていたのではないでしょうか。
業務効率とは各部門で行なっている業務の付加価値を算定し、単位時間当たりの付加価値量を求めたものです。
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価値ポイントは、現状業務に対して一定の付加価値を設定し、一定期間内に終了させた業務に割り当てていたポイントの総和が価値ポイントで、チーム単位で計上します。
総投入時間は、一定期間内(日または週、月)で価値ポイントを得るために必要となったチームメンバーの業務処理時間の総和であり、通常は勤務時間と残業時間(休出含む)の合算値となります。
業務の種類によって価値ポイントは変わるので、絶対値ではなく値のアップ率で判定します。業務効率指標を使うことによって間接部門の生産性向上活動は非常に進みやすくなってきます。
次回は、間接部門の生産性を上げるための具体的な改善内容について説明をします。
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株式会社アステックコンサルティング
コンサルティング本部 コンサルタント 松山 和人 |