第21回 「時代環境と変えるべきもの」
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1. 市場の変化のサイクル 商品には製品ライフサイクル(導入期・成長期・成熟期・衰退期)があるが、それぞれの時期に応じて求められる管理形態や技術は違ってくる。一般的に導入期に求められるものは技術革新であり、想像力、新たな発想などである。この時期は商品としての完成度も低く、生産の都度変更が発生するために画一的な管理は返って効率を落とすことにつながってしまう。また成長期に求められるのは固有技術の進展であり、生産量の増大に合わせて遅滞無く生産を行う生産システムの構築である。成熟期に求められるのは管理技術であって、商品数の増大やバリエーションの増加に対する管理の仕組み作りと言える。衰退期に求められるのは品種数の収束と統合であり、投資無き環境で如何に利益を確保するかということになる。このように製品ライフサイクルの時期によって求められるものは変わってくるため、それぞれの時期に応じた管理の仕組みを作ることが必要になる。(図1) |
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2. 日本国内は成熟期に相当する 現在の日本国内の製造業に目を移すと、上記の製品ライフサイクルで言うところの成熟期に入った製品を作っている企業が多いのではないだろうか。この成熟期の特徴のひとつは「技術の均等化」であり、製造設備や固有技術の一般化によって企業間、製品間での技術力に差がなくなり、製品機能で圧倒的な差をつけることが非常に難しくなってしまう。その結果、他社との差別化を進めるためには顧客要求を細かく聞くことしかないため、必然的に多品種化、少量化が進んでしまうのである。つまり、成熟市場における多品種少量生産化は、他社との差別化を図って行く限り必ず発生するものであり、避けて通ることの出来ないものなのである。 この製品ライフサイクルは一般的な工業製品では短く、数年で商品寿命が終わるものもある。特にIT関連機器のように技術革新が早い業界では1,2年で商品自体が入れ替わってしまい、新型品もあっという間に陳腐化してしまう。逆にライフサイクルが長いのは、いわゆる素材型の製品や食品、住宅に代表されるような生活必需品であり、何十年にも渡って同じ様な製品が作られ続ける場合もある。これらの製品は言わば成熟期を相当の長期間にわたって続けてきているため市場は競争が激化し、典型的な多品種少量生産、個別受注型生産になっていく。 |
日刊工業新聞社刊「工場管理」2016 VOL.62 No.3 掲載記事に加筆訂正 株式会社アステックコンサルティング 代表取締役社長 岩室 宏 |