第60回 「攻めの設備保全」
モノの流れを止めない設備保全前回のコラムでは、設備保全を取り巻く環境と問題点について説明を行いました。 では、どのように効率的に設備保全の活動を行っていくかというと、従来の“設備を止めない設備保全”から“モノの流れを止めない”設備保全に視点を変える必要があります 。 |
1.モノの流れを止めない視点を持つ |
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効率的に設備保全を行うには、設備を中心に考えるのではなく、工場全体を見た際に、モノが安定して流れているかを中心に考える必要があります。設備を中心に考えてしまうとどこから手をつけていいかわからなくなり、また、対象を絞って活動をしても、それが工場の生産に寄与しない場合もあります。その為、モノの流れ視点から設備を見て、予防保全が必要な設備と、事後保全にて対応する設備を使い分ける必要があります。 |
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2.予防保全と事後保全を使い分ける |
モノの流れを止めない保全活動に価値観の転換を行ったら、設備を予防保全活動と事後保全活動の対象に分類します。初工程~最終工程までの中でのネック工程や、生産能力は高いが工場に1台しかないようなシングルマシンを予防保全活動の対象と考えます。設備保全においても、改善を行うには指標が必要で、予防保全活動では設備の故障回数を削減していく必要がある為、平均故障間隔を数値化するMTBFを用います。その他の設備はモノの流れを中心に考えるとある程度の余裕がうまれる為、その余裕の中で通常事後保全ができるように事後保全活動を行います。指標としては修理時間を削減する必要がある為、平均修理間隔を数値化するMTTRを用います 。 |
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モノを流す視点で考えることにより、工場全体でみた場合の優先順位を決めることができます。予防保全の対象設備を設定し、トラブルが低減したが、工場としてのアウトプットにあまり影響しなかったということがあります。それは設備を中心とした優先順位付けになっている可能性があります。 |
次回はそれら2つの保全活動を具体的にどのように行っていくのか説明していきます。 |
株式会社アステックコンサルティング コンサルティング本部 マネジメントコンサルタント 川津 武史 |