第80回 生産設計によるコストダウン
「生産設計とは」 |
1.製造業における生産設計の目的と実態 |
---|
「生産設計」と言いましても会社ごとにいろんな定義がありますし、広義と狭義もあります。ここでは生産設計の定義を「設計部門が顧客要求に沿って作成した設計内容を、製造視点、技術視点、調達視点、営業視点でもう一度見直し、より安く作るための知恵や工夫を加えて再設計する」といたします。 |
2.製造業における生産設計のあるべき姿 |
生産設計が不足しているとどんな問題が発生するでしょうか? |
|
3.生産設計での確認項目 |
先ほど生産設計の定義を「設計部門が顧客要求に沿って作成した設計内容を、製造視点、技術視点、調達視点、営業視点でもう一度見直し、より安く作るための知恵や工夫を加えて再設計する」といたしましたが、それぞれの時点での確認項目を掘り下げてまいります。 |
|
●営業視点での確認項目 機能とコストの関係把握 V(付加価値)=F(機能)/C(コスト)
●調達視点での確認項目 見積り比較を行ったか
●技術視点での確認項目 過剰設計になっていないか
●製造視点での確認項目 加工方法は適切か(曲げ、抜き) |
以上です。細かくはもっとあるかもしれませんが、大きくリードタイムに影響を与える項目(品質トラブル、作業性悪化、計画不良、外注)の注目して確認する必要があります。 |
4.生産設計のタイミングとコンカレント設計 |
---|
生産設計は、基本設計後と詳細設計後の2回行うのがベストである。できるならば出図前に修正することは非常に大切になってきます。そのために用いられる手法が「コンカレント生産設計方式」です。コンカレント(同時並行)エンジニアリングとは、企画・設計などの上流工程と、製造・試験などの下流工程を同時並行的に実施し、開発プロセスを可能な限り短縮化する手法です。 |
|
5.製造業における生産設計を実現するための5つの切り口 |
ここまでの流れで、コストダウンするためには生産設計を導入する重要性は理解いただけたと思います。それでは生産設計を実現するためにどのように設計部門の時間を創出していけばよいかを説明いたします。それには5つの切り口での進め方が必要です。 |
|
① 確定情報での設計 受注前活動の強化・選択式見積仕様書の確立を通じて、設計部門の手戻り作業を削減していきます。
② 設計の見える化 基準日程の見える化・業務負荷の見える化・部門間ロスの見える化を通じて悪さ加減の見える化をおこないます。
③ 設計思想の標準化 設計思想の確立・標準化設計/流用化設計/組み合わせ設計を通じて標準化によるコストダウンと設計時間削減(新図を描かない)を図ります。
④ 設計効率向上 業務価値の定義・ムダの創出・自己時間分析から、テーマの優先順位付けを行いテーマ設定します。
⑤ 設計管理の強化 案件別管理(大日程管理)、設計工程管理(中日程管理)、週間スケジュール(小日程管理)を通じて状況変化への迅速な対応環境づくりを行います。 |
以上で生産設計の定義目的あるべき姿、生産設計を実現するための手法や切り口につきまして説明をさせていただきました。5つの切り口の詳細につきましては別の機会で説明させていただきます。 |
|
株式会社アステックコンサルティング |