第55回 「コストの見える化」
見えないコストのあぶり出し
第1回目に説明したとおり、製造業の見えないコストをひとつずつ見つけて、その低減のために手を打っていくことは、我々コンサルタントでもとても難しく現実的ではありません。その根本原因となっている仕組みを変えていくことが重要です。ただ、どの仕組みやシステム、やり方が悪くて見えないコストが発生しているのかを紐解かない限り、改善のターゲットが絞り込めないのも事実です。改善対象となる“悪い仕組み”を絞り込むためにも製造や設計の現状を分析して改善すべき対象のヒントを見つけていく必要があります。 ここではその見つけ方を種々の切り口から解説していきます。 |
1.作業分析による見える化 |
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作業の中にどれだけのムダや無付加価値作業が含まれているのかを定量的に見える化する方法であり、代表的なものとしてIE手法があります。
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2.管理指標の活用による見える化 |
管理指標には実にさまざまなものがあり、職場の実態を的確に表すものであれば定型にこだわる必要はありません。指標を活用する上で重要なことは、推移を継続して見るという傾向管理を導入することです。これは指標が悪化する前に手を打つ、という観点からとても重要なことです(死亡診断書にならないように) また、指標の数値とコストの推移の関係性を常に見比べることも大切です(下図)
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3.生産管理の仕組みに起因する見えないコストの抽出 |
これはそもそも、ものづくりの仕組みに起因する見えないコストにいかに気付いて改善対象とするか、という話です。
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以上をまとめると、生産の仕組みに起因した見えないコストの主要因としては製造開始後の計画変更が挙げられ、この計画変更を低減するための有効な手段として製造リードタイムの短縮があるということになります。ここに気付いて短いリードタイムでのもの作りができる仕組みを構築すれば、ユーザーの突然の計画変更にも対応できる確定計画でのもの作りが可能となり、至るところで現状発生しているであろう見えないコストを大幅に削減できることになります。
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株式会社アステックコンサルティング |