浜松ホトニクス株式会社 システム事業部 様
会社名 | 浜松ホトニクス株式会社 様 |
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事業内容 | 光センサ、各種光源(ランプ)、光半導体素子ならびにバイオ・半導体・医療向け装置の開発・製造販売 |
本日は、静岡県浜松市の天竜川沿いにある浜松ホトニクス株式会社 システム事業部様に伺いました。同社は、光電子増倍管を代表とする光センサやランプの製造販売をされている電子管事業部、光半導体素子を製造販売される固体事業部、これら製品の性能を引き出した光検出器や応用製品の製造販売をされるシステム事業部の3事業部で構成されています。ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊博士や梶田隆章博士の研究を光センサ技術で支えた研究開発型企業として広く知られています。
3年間一緒に改善活動をさせて頂きましたシステム事業部 業務部長兼製造部長の渡辺元之様にお話を伺いました。
- Q:システム事業部の特徴について教えて下さい。
- システム事業部は、医療分野で使われる高感度デジタルカメラ、食品検査用X線ラインセンサさらに創薬支援システムや半導体故障解析装置などの応用システムまで開発と製造販売を4百名強で行なっています。
品種数は750を数え受注形態は年間契約あり、当社の見込み生産あり、顧客と仕様打合せをして一品仕様で開発する製品ありと多様であるため生産形態も在庫補充生産もあれば個別受注生産まであります。 - Q:どのような背景でコンサルティングを導入されたのでしょうか?
- リーマンショック以降、顧客から価格と納期に厳しい要望をいただくように変ってきていました。当時システム事業部では多品種少量生産で年間を通じて繁閑差が激しく生産の平準化が難しい極めて特殊な事業だと感じていまして何とか良い改善方法が無いものかと切り口を探していました。
2012年9月に開催されたアステックさんの経営TOPセミナー『安く作る技術』を受講した責任者から当事業部に非常にマッチした内容だと報告を受け早速、工場診断を受診しました。結果はリードタイム75%削減と生産性は50%UPを目標にしましょうと言うものでした。正直当時は、リードタイムが1/4になるなんて、この人達は一体何を言っているのだろうかと耳を疑っていましたが事業部長から『騙されたと思ってコンサルティングを受けよう』と言われ取組み始めました。(笑)
- Q:すばらしいデザインのストラップも作られましたが改善活動はどのように進められましたか?
- 最初に、アステックさんから短期間に外科手術的に改善するか、それとも漢方薬のようにじっくりと体質改善するかと聞かれましたが、最終的に自ら改善活動を継続的に行なえるような風土にするために、じっくりと3年程度かけて指導を受けようと決めました。
改善活動というと製造部門のみがやらされる活動との印象を持つメンバーも居たのですが、事業部全体の活動という位置づけでないと大きな成果に繋がらないと考え改善組織は全体最適視点で仕組改善に取組む『事業部改革プロジェクト』と現場課題解決に取組む『小集団活動プロジェクト』の2プロジェクトで推進しました。
活動名称やプロジェクトのロゴ、ストラップのデザインについても公募して社員のアイデアで『オレンジプロジェクト』と名づけました。これには、元気に活動するようにオレンジのビタミンC、『みかん(未完)』に終わらないように、そして社内で『成果C』と呼んでいる営業利益を向上するという思いを込めて名づけたものです。デザインも工業デザインを担当している社員が良いものを作ってくれました。これらと活動メンバーで検討した目標とアクションプランを練って活動のキックオフ会議をして推進しました。
毎週金曜日を活動日と決めて、事業部長とのトップミーティング、事務局ミーティングと2プロジェクトに分かれての改善ミーティングを進めていきました。そして、日常的には宿題を実施するPDCAのサイクルで活動を進めました。 - Q:弊社のコンサルタントの印象はどうでしたか?
- 2プロジェクトに対してそれぞれ1名ずつコンサルタントが担当されましたが、大手の製造業で製造現場や生産管理の改善だけでなく事業運営等、様々な経験を積まれた上にコンサルタントとしての勉強をしてこられた方々であり、大変多くの事を勉強させて頂きました。当事業部は、多品種少量生産で極めて特殊な事業と活動メンバーの多くが感じていましたが、コンサルタントからすると多品種少量生産や一品受注型の事業は今や当たり前の生産形態であり何ら驚く事は無いと論理的に着実に進められた印象があります。
とにかく改善活動を楽しみながら進める事ができました。 - Q:改善成果は如何でしたか?
- 生産性は初年度117%、最終的に143%に向上させる事が出来ました。製造リードタイムでは製品群によって異なりますが定期的に出荷する製品群では46%、受注生産品では顧客の予算確定や内示情報に応じて設計、長納期部品の手配を適切に進める工夫も含めて90%削減と大幅に短縮する事が出来ました。
この成果が功を奏したのか明確には解りませんが受注が大きく伸びて活動当初からすると1.5倍の受注生産を行なえるようになりました。生産性を140%以上に向上していたため人を増やす事も無く対応できましたので成果C(営業利益)を大きく伸ばす事に繋がったのです。
今では情報の流れる仕組みを作ったので製造現場ではモノが整然と流れ、まだまだ増産できそうです。もう昔の混乱状態に戻る事は考えられません。 - Q:皆様いつも明るく元気な印象がありますが、成果を上げる秘訣は何でしょうか?
- 専任メンバーをはじめとした事務局が非常に良く頑張って活動を牽引してくれたと思っています。私は、皆が今まで出来ていなかった事が出来るようになったのだからとにかく褒める事に徹していました。明るく元気な印象というのは我々からするとよく解りませんが、自由闊達な社風なのかも知れません。
- Q:生産革新研究会にも入会頂いて、ご発表も頂きました。
- アステックさんのコンサルティングを受けている企業を集めての集合研修や改善事例発表会など案内頂いたイベントには積極的に参加しました。専任者を集めた専任研修会には当時の専任者と現在の2代目の専任者を対象に2度参加しましたし、改善事例発表会には毎回参加して他社の活動事例を学ぶと共に他の企業様とも情報交換をして刺激を受けました。
2年目には自ら事例発表もしましたし、『工場管理』(日刊工業新聞社刊)への執筆もしてアステックさんへの協力もしましたよ。(笑) - Q:3年間のコンサルティング終了後、自主改善をされていますが、如何ですか?
- アステックさんの指導は昨年6月で卒業して現在は自主活動に移っています。やはり金曜日にメンバーが集まり自ら設定した目標に到達するためのアクションプランを実行しながら改善を進めています。
まとめて生産すれば効率が上がるという従来の漠然とした思いではなくて、必要なものを必要な時に必要なだけ生産する、結局これが最も効率的である事を体験したので、1個流しを最短時間で製造できる体制を目指して取組んでいます。
先日は、半年振りにコンサルタントに来て貰ってフォローアップ診断を受けましたが、やはりまだまだ取組みが不十分だと実感させられるところがありました。半年毎にフォローアップで見てもらい、良い評価を受ける事を刺激としてまた取組んで行きたいと思っています。
本日、お話を伺いながら私も3年前からの貴社のお取組みを振返っていました。事業部長から管理職の方々、そして事業部の皆様が一丸となって明るく楽しそうに改善されてきて大きな成果を出された事は
皆様の誇りであると同時に、私達アステックコンサルティングの喜びでもあります。
ご紹介頂いた他事業部様での活動も始まっています。激励や助言など頂ければありがたいです。
今後とも是非、宜しくお願いします。