第33回 一気通貫生産方式の理解を深める@
日頃から様々な工場を訪問し、一気通貫生産方式について指導を行っている身においては如何にその効用を理解してもらえるかを常に模索することがライフワークとなってきている。
今まで生産管理改善やリードタイム短縮を手がけたことのない人にとって突然、「一気通貫生産」の説明を聞くと頭の中では理解できても「実際どうなの?」「難しいんじゃない?」という多少の疑念が生じるのはある意味必然であると言えよう。ここを如何に自然の摂理として日常の事例に置き換えて“たとえ話”を繰り出せるかが理解を深め、納得してもらえるかの分岐点となる。
第1回目としては一気通貫生産をパチンコに例えてみよう!製品をパチンコの玉とすると打ち出された玉(投入された製品)は当初、パチンコ板の外周に沿ったレール内を何の障害もなく高速で移動し上部に達する。まさに一気通貫と思いきや、その後は遠心力が減少し自由落下のフェーズに突入する。そこには多数のピン(生産の障害=設備故障や品質トラブル)が存在し、玉は全く予想不可能な動きをする。ピンに当り方向を変えたり、一瞬停止したり、後ろの玉に追い抜かれたり。いつパチンコ板のボトム(出荷)に到着するかは全く読めない(計画通り進まない)。これが一般的な工場の生産状況ではないか?
ここで、改善活動としてこの生産の障害となるピンをなくしたらどうなるだろう。パチンコ板の上部に達した玉は何の障害もなくパチンコ板のボトムにはじき出された順に等間隔で到達していくだろう。これがまさに一気通貫のイメージである。但し、この時点でもはやパチンコの楽しみは破棄され、アミューズメント性はゼロとなるが。
筆者:コンサルティング本部 コンサルタント 藤居 隆一